ISO9001を取得してからISO13485。コンサルタントの考えと実例

医療機器の開発製造や、薬品、試薬、検査をされる会社でISO9001認証取得をされる会社が増えています。

実際に弊社においても、ここ1年だけでも複数社の医療関係のISO9001コンサルティングを実施いたしました。

弊社(ISO支援ネット)は様々な分野のISO9001認証取得のコンサルティングを行っておりますが、最近、医療業界での取得が増えていることを実感してます。

医療機器の分野では、ISO13485(医療機器の品質マネジメントシステム)という特化したISOシステム規格があるので、こちらの規格を取得される医療機器関係の会社もあると想像します。

まずはISO9001を取得して段階的にISO13485へ

弊社はISO13485のコンサルティングはしていないのですが、

これまで弊社にご依頼いただい医療関係の会社は、まずは基本となるISO9001を取得して、社内の体制を整えて足掛かりを作ってから、将来的に状況や必要に応じてISO13485を取得しようという会社がほとんどです。

なぜ、ISO9001がISO13485の足掛かりになるかというと、

ISO9001も13485も、いずれも品質マネジメントシステムという同じ種類のシステム規格だからです。

ISO9001ではなく、最初からISO13485を取得することも可能ですが、

例えて言うと、
いきなり大型バスやダンプの大型免許を取得するのではなく、まずは普通自動車の免許を取得しようというような感覚です。
(※大型免許を取得するには普通自動車を取得してから3年の経過が必要ですが、ISO13485はそういった条件はありません)

ISO9001の特徴は、基本であり汎用性がある

ISO9001の特徴は、企業の規模や業種を問わず、どんな企業でも取得できる汎用性の高い品質マネジメントシステムです。

ISO9001を取得するには、取得する会社自身が、自社なりの業務活動のルール化を行い、ルール通りに活動している運用実績をつくることで、取得できます。

ISO9001と比較してISO13485の違いは、ISO9001をベースにした要求事項に、医療業界特有の要求事項や関係する規制法令の順守をすることが要求事項として上乗せされているといったイメージです。

医療機器以外にも業界に特化したマネジメントシステムが、自動車や航空業界、食品業界などにも存在し、いずれもISO9001規格がベースになっています。

なので、医療業界以外でも段階を経て取得するということはよくあることで、まずは基本となるISO9001を取得する、そういった事情で弊社でもコンサルティングのご依頼を多く頂戴しています。

顧客がISO9001を望んでいる

ISO13485やその他の特化したシステム規格を取得する前に、ISO9001規格を取得する、このような背景には、

先に説明したように、ISO13485など専門分野のISOを取得したい企業が、まずは基本のISO9001を取得して、段階的に専門規格に移行していくケースもよくありますが、

その一方、取引先である顧客の要求として、

ISO13485までは取得しなくても、せめて基本となるISO9001ぐらいは取得していて欲しいという、顧客側の強い希望があります。

仕入先・購買先に対するリスクヘッジや安心を求めて、顧客がISO9001規格の取得を強く望んでいるために、その要求や要請に対応して、せめてISO9001だけでも取得しておこうという企業も多いのも事実かと思います。

正に製造業もそうですし、業界・業種によっては、ISO9001は取得していて当たり前、このような感覚をもっている発注先も多いようです。

ISO9001を取得して段階的にISO13485に移行するメリット

ISO13485は、医療機器分野の専門のシステム規格なので、

ISO9001と比較すると、取得に向けて、また、取得後の維持において、医療機器分野特有のルールや管理が必要になります。

それに対して、ISO9001は、どんな業種にでも通ずる汎用的なシステム規格です。

業種に関係なく企業として当たり前の活動を行ってさえいれば取得できるので、ISO13485と比較して、ISO9001は取得しやすい規格です。

なので、メリットとして、いきなりISO13485を取得するよりも、先にISO9001を取得する方が準備や運用面において負担がかなり楽です。

ISO9001も取得が難しいのでは?

医療関係の会社だけではなく、様々な分野・業界において「ISO9001を取得したい」というニーズを持っていながら、ISO取得に一歩踏み出せず、躊躇している企業が多くいらっしゃいます。

ISO9001が難しいと思われている理由

なぜかと言うと、ISO取得に対するハードルを想像の中で上げてしまっているからです。

「ISO9001取得は難しい、大変だ」

「自社の状況やレベルではまだISO取得は無理だ」

「ISO審査の準備が大変らしい」

「ISOには費用も時間もとられる」

ISO9001に対して、なぜ、このようなネガティブなイメージがあるかというと、

既に取得している企業からの苦労話や周辺の噂話、それに加えて、自社の想像でISO9001取得の難易度をかなり上げてしまっている会社が大変多くいらっしゃいます。

ISO9001は進化・改善されています

ISOに対するネガティブなイメージばかりが先行してしまっていることはISOコンサルタントとして残念になりません。

そうなったのは、私たちコンサルタントをはじめ、ISO業界が反省すべき事も多くあります。

反省を踏まえて、これから取得される企業の皆様に声を大にしてお伝えしたいです。

「ISO9001は常に進化していて、最新のISO9001では、ネガティブな事柄は改善され、企業にプラスとなる規格になっています」

私の動画でも、ここのブログの中でもよく取り上げることなのですが、

既にISO9001を取得している企業の苦労話は、実際に苦労されている事実かと思いますが、それは古いISOや間違った取得の仕方をした企業の話です。

最新のISO9001は、

医療業界をはじめ、どんな業種の、どんな規模の企業でも、比較的に簡単に負担なく、現状の業務活動を変えずにありのままで取得できるようになっています。

ISO9001のデメリットである負担について

ひと昔前とは異なり、現在ではISO9001を取得することで、負担などのデメリットではなく、メリットが付いてくる可能性が大いにあります。

昨年(2021年)にISO9001を取得された会社の経営者の感想が参考になると思います。

ISOに対してデメリットやネガティブな印象をお持ちの方は、是非、ご覧いただきたいです。

ISO9001を取得した経営者のリアルな感想

ISO9001は、負担なく取得できるようになった

どんな負担が無くなったかと言うと、

・現状の仕事のやり方を大きく変えず、そのまま取得できる
(仕事のやり方をISOに合わせる必要がなくなった)

・ISOのためのISO活動をしなくて良い

・ISOの文書化要求が極端に減少した
(膨大な文書を作成したり、管理しなくて良くなった)

・審査も気軽に受けられるようになった

・取得後、外部コンサルに頼らなくても良い

ISO9001を取得するために必要なこと

この動画が参考になると思います。

皆さんの周囲で、「ISO9001は大変だ」と苦労話をしている昔ながらのやり方でISO9001を取得すると、そのような企業と同じく、大変なISOをする羽目になってしまいます。

弊社の宣伝用の動画なのですが、こちらをご覧ください。

いかがでしたでしょうか?

繰り返しとなりますが、ISO9001は以前と異なり、ずいぶん負担なく取得でき、しかも取得後の運用も自社だけで出来るようになっています。

ISO9001を取得してから、ISO13485の検討する

まず先にISO9001を取得する事のメリットとして、ISOのマネジメントシステムがどういったものであるか、基本編として取組みやすいということがあります。

一日で一気に頂点(専門規格)を目指すより、途中にベースキャンプを敷いて、様子を見ながら頂を目指すという方が、リスクや負担が少ないものです。

取得してみたらISO9001で充分だった

場合によっては、頂まで行かずとも、ベースキャンプ地点としていたISO9001取得で、顧客も納得して満足してもらえたし、充分に目的を果たせるといった可能性も大いにあります。

実際に、最初は頂点として設定していた専門規格があっても、ISO9001を取得したことでマネジメントシステムの機能や役割を感じとられ、ISO9001だけで満足している会社も多くいらっしゃると思います。

この記事を書いた人

[この記事を書いた人]
長谷川 順  ISOコンサルタント、株式会社ウイズダムマネジメント代表。
1975年 京都府生まれ。現在、東京と関西を拠点に全国コンサル訪問を展開中。26歳で現職の経営コンサルティング会社に転職し、2004年・29歳のときに「ISO支援ネット」事業を立ち上げ、自ら全国の企業に訪問しISOコンサルティングとISO研修を提供、継続中。わかりやすく実践的なISOを提唱。ISO9001及びISO14001審査員補(JRCA登録)。

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[動画]ISO9001取得「活動・費用の負担は?」

ISOは大変、それは古い時期に取得した企業の話。古いやり方で取得した会社は今も負担と苦労が続いています。しかし、最新のISO9001は負担なく取得できます。その最新情報を説明します。


[動画]「ISO審査の話」これで審査準備はもう不要

ISOの審査が大変で「やめたい」という企業もでるくらい審査は恐ろしい?(ブログ:やめた企業)。しかし、審査の意味がわかれば、審査準備も不要で、審査の目的を理解したら全く恐くありません。


[動画]ISO9001取得の意味、目的、効果

正しい理解をすれば、ISO9001の負担はありません。本来、ISO導入は会社にとって負担どころか、会社が良くなるプラスの効果が働くものです。決して間違った負担のあるISOにならないように。



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