ISO9001もしくはISO14001の認証取得をした後、取得後も運用のサポートをISOコンサルタントに頼る必要はあるでしょうか。
いろんな考えがありますが、当社ISO支援ネットでは取得後のISOコンサルティングは不要と考えています。
その理由は当社のISOに関する方針と密接に関係するので、
当社のISOコンサルティングの考えをご案内します。
主に次の3つが当社ISO方針です。
[コンサル方針1]経営のプラスになるISO
[コンサル方針2]ISOのためのISO活動・文書は導入しない
[コンサル方針3]ISOにコストをかけない
ひとつずつ触れていきます。
[コンサル方針1]経営のプラスになるISO
当社の特徴として、当社はISO専門のコンサルティング会社ではなく、30数年前に経営コンサルティング会社として始まり現在も同じく企業様の経営の支援になることを事業としています。
ISOはメリットもあるが、失敗すると足かせにもなる
ISO9001は導入によるメリットも多くあるので、ISOを取得する企業は是非ともそのメリットを享受いただきたいです。逆に導入の仕方によってはISOが経営の負担や日常の足かせになることがあります。ISOが企業経営にとってマイナスになることは、貴社にとっても不利益ですし、コンサルをしている当社もISOを負担と思ってほしくありません。
しかし、ISOに対して悪いイメージをもっている人も多いです。
このページを読んでいる皆様も、「ISOは準備が大変だ」「ISOは負担になる」「ISOなんて意味ない」という声や噂、悪い評判を聞いたことがあると思います。
ISOが負担になるというのは本当、ただし、それは失敗例
「ISOが負担になる」というのは嘘ではありません。事実です。多くの企業やそこに所属する従業員の方々がISOによる不利益や負担を被っています。ISOのせいで不要または不毛な活動を強いられたり、無駄な文書作成や意味のない記録発行を強いられ、いま現在もその苦痛が続いています。
ただし、これはISOの導入失敗例です。
ISO失敗の理由は次の3つ
・大企業や他社のISO活動を自社に取り入れた
・ISOコンサルタントや審査員の言いなりになる
・ISO要求を満たすことが目的になっている
ISOの国際機関(=国際標準化機構)は、ISOを導入した企業が負担を強いられることを望んでいる訳ではなく、ISOのマネジメントシステムを導入して企業経営がプラス働くことを想定しています。
ISO9001が経営のプラスになるとは
ISOの国際機関が考える経営のプラスとは2つあります。
1つ目は、製品やサービスの品質が安定または向上し、顧客満足度につながり、取引きが安定したり売上があがることです。
2つ目は、企業内の活動が改善され、無駄が排除され、効率が向上し、生産性や省力化が進みコストが抑えられることです。
お客様が満足し売上があがる
効率化でコストが下げる
その結果、ISO9001導入によって利益が拡大するのがISOの考える経営のプラスです。
「そんなの嘘だ」とISOの失敗例の中にいる人たちは異議を唱えるはずです。
それはそうでしょう、その方々たちは、いま現在もISOのために意味のない活動を強いられ、役にも立たない記録や文書を残し、メリットを全く感じないISOを実体験されている最中なのですから。
加えて、そんな意味のない活動であっても、毎年、審査機関のチェックを受けて、その度に指摘をされて更なる負担を強いられ、稀に褒められながらも、公式の審査を通過して、まぎれなもなくISO活動を維持しています。
そんな方々は、
自分たちがやっているISO活動は事実で、これが正にISOなのだと信じているはずです。
なぜ、そうなってしまっているのか、
これは、ISOコンサルタントや審査員の言いなりになっていたり、ISOがプラスになる活動であることを教えないまま、ISO審査を通過しISOを維持することが目的になっている事だと想像します。
ISO負担を美化するコンサルタントや審査員
ISOコンサルタントや審査員の中には、企業の経営視点ではなく、いかにISOらしい活動をするか、経営が中心ではなくISOが中心の仕組みや形を作ること、それらISOらしい活動や形を美化している人たちも少なくありません。
カッコいいF1カーを作ることが目的に
ここで言うISOを美化するとは、車の話で例えると、立派なかっこいいF1カーを作ることが目的になってしまい、実際の日常の移動や運搬手段としては全く使いにくい(使えない)車を作っているみたいな事です。
F1カーを作るには高度な知識や技術が必要で素晴らしいことですが、乗りこなすのも維持するのも、それはそれは大変な事でしょう。
コンサルタントや審査員の中にはF1カーを作ることを良しとして推奨している人たちもいるのです。
[補足]そういったコンサルタントや審査員に悪意はありません。それが企業のためになると真剣に考えています。確かに、F1カーを作れて乗りこなさるぐらいの企業になれれば何でもできそうな気がして悪いことでもありません。
ISOが経営のプラスになっている会社もあります。
一方、ISOをプラスにしている企業では、自社に合った仕組みを構築し、顧客から支持される製品サービスを提供に努めて売上を増やし、改善によるコスト削減で利益を増やし、結果、利益を拡大しています。
失敗しないISOにするためには
ISOの国際機関が考えるISO9001のメリットをしっかり捉え、決して他社の真似事をせず、ISOコンサルタントや審査員の言いなりにならず、自分たちの目的を明確にして、自社にマッチした仕組みを構築するべきです。
規格要求をどのように満たすかは、企業側の自由
ISO9001やいそ14001をどのような活動、どのような形にするか、それはF1カーではなく、軽自動車や自転車など、自社が好む形で良く、自由なのです。自社が作りやすく、また、使いやすい仕組みを作るのがベストです。
[コンサル方針2]ISOのためのISO活動・文書は導入しない
すでに述べていますが、ISOは企業の経営のプラスになる活動とすべきです。
ISOの国際機関もそう考えています。
その観点から、負担にしかならないこと、意味のないこと、無駄となるような活動や文書は一切不要です。
例えばISO審査での文書確認
審査員はすぐに「台帳はあるか」「記録をとっているか」というようなことを質問してきます。「台帳はあるか」と質問された側は、「ISOでは台帳がないとダメなのか」と思ってしまいがちです。
しかし、審査員の意図として、①真剣にそれが必要と思って質問している審査員と②単純に実態を知りたいという意味で質問している審査員の2種類の審査員がいます。
「そんな文書はありません」の審査回答でOK
いずれの審査員に対してもありのまま「それはありません」という答えで問題ありません。
①の真剣に台帳が必要だと思っている審査員が「台帳が必要なのでは」ということを突き詰めてきた場合、ここで審査員の言葉を鵜呑みにしてはいけません。
仮に台帳がいるかどうかの判断は審査員が決めるのではなく、判断基準は次の2点です。
ISOにおける文書の必要性の判断基準
・ISOの規格要求の中でその台帳(文書)を求められているか
・その台帳を設けることが自社に必要またはプラスであるか
ISO規格が仮に台帳を要求していれば、台帳は必須です。(実際にはISO規格が何らかの台帳を要求していることは一切ありません)
規格要求に無ければ、自社の必要性に応じて判断が自由です。
審査員の中には「規格要求で明確にしろ書いているからリストは必要でしょ」と説明する審査員もいるでしょう。
それは審査員の個人的な解釈であって、自社が必要としなければ審査員やコンサルタントの言いなりになってはいけません。
多くの人が誤解しているISO文書
多くの人が誤解していることとして、規格要求の中に「明確にしろ」「決定しろ」という要求は「文書化をしろ」という意味ではないので文書化が必須な訳ではありません。
規格が文書化を求めている場合は「文書化した情報にしろ」と必ず書いています。
「明確にする」「決定する」の要求を満たす方法として一番簡単な方法として「然るべき人が説明できる」状態であればOKです。
ISOは自由なので決して無理や背伸びをしない
ISOの要求事項は満たすことが必須です。しかし先述のとおり、どの程度の活動や文書として要求を満たすかは、企業側の自由です。
決して、カッコいいからと言って背伸びや無理をして自社活動をF1チームのような手間や資源がかかる高度な活動にしないでください。
企業は必要最低限の手間暇で成果をあげることを目指すべきです。
[コンサル方針3]ISOにコストをかけない、自然な活動に
ISOの国際機関が考えるISO9001、ISO14001のあるべき姿として、「通常の事業活動=ISO活動」とするべきと規格要求にも書かれています。
言い換えると、ISO活動を「特別な活動」であったり、「余計な活動」にしないでください。
ISOが負担になってしまっている企業では、「ISOためのISO活動で余計な活動にしてしまっている」これが実態です。
F1カーを作るべきと考えるコンサルタントや審査員の言いなりになってはいけません。
自社に合わない活動は、結果として負担が増える
ISOが負担になっている企業は、隣町まで行くのに本当は軽自動車や自転車で充分なのに、F1カーを作ってしまい、わざわざ苦労して隣町に出かけているみたいなことです。
そんなことはISOの国際機関は望んでいませんし、企業に何のメリットもありません。
一部のコンサルタントや審査員がその努力を労ってくれるだけで、こんな状態がまさに「ISOのためのISO活動」です。
負担のかかるISOで疲弊してくると
せっかくF1カーを作っても乗りこなしたり管理する維持に疲弊してくると、日常の活動ではF1カーは使わず、使い勝手が良い軽トラや自転車を普段使いすることになっていきます。
ただし認証を受けたF1カーも維持しないとダメなので、社内の一部の人にメンテナンスを押し付けて、審査の時期になると、あわてて書類などを取り繕って、F1カーを前面に出してちゃんと維持してますよと、こんな企業も少なくありません。
ISO活動における正解
ISO9001とISO14001が要求しているのは「普段の活動をISO活動にしてください」ということです。
なので正解は普段から使いやすい軽自動車や自転車のように、自社が活動しやすい仕組みをISO活動とすべきです。それが自社のためであり、ISOの国際機関も望んでいることです。
わざわざ自転車を管理するために専門の管理者を配置する必要もありません。専任者がいなくても充分にISO9001や14001を取得して維持することが可能です。
ISOのコストの話
ここまでの話で理解いただけたと思いますが、企業が普段どおりの活動にすることがISOなのですから、そこにISOのコストを上乗せして掛ける必要はありません。日常活動に外部のISOコンサルタントの力を借りる必要はありません。
繰り返しになりますが、F1カーのように自社にマッチしない仕組みとしてISOを導入した企業は、専任の管理者も必要ですし、認証取得後もISOコンサルタントの力を借りる必要があるかもしれません。
取得後のISOコンサルティング費用
仮に、取得後も毎月5万円のコンサルタント費用を支出した場合、年間に60万円、15年も経てば1000万円ほどのコストになります。
対価を払っている価値や意味があるサポートをしてくれる場合は良いですし、その支出が痛くも痒くもない程度のことであれば問題ないかもしれません。
ISO支援ネットのコンサル内容
当社ISO支援ネットでは、ISOの導入から認証取得までのサポートとしてコンサルティングを提供しますが、取得後は企業が自社だけで運用することを想定して支援いたします。
それぞれの企業の通常活動をヒアリングし、ISOをまだ取得していない時点で行っている通常活動=ISO活動に仕上げることを得意としたコンサルタントです。私たちはISO専門のコンサル会社ではなく経営コンサルティング会社です。企業の経営のプラスになるISO活動、コストのかからないISO活動を推奨しています。
審査対応の考え方もしっかりとお伝えし、取得後に毎年受ける審査も準備はゼロ、負担なく審査対応いただけるようにご支援します。
つきまして、当社ISO支援ネットは、取得後のコンサルティングは不要と考えています。
当社ISO支援ネットのページもご欄ください。
[この記事を書いた人]
長谷川 順 ISOコンサルタント、株式会社ウイズダムマネジメント代表。
1975年 京都府生まれ。現在、東京と関西を拠点に全国コンサル訪問を展開中。26歳で現職の経営コンサルティング会社に転職し、2004年・29歳のときに「ISO支援ネット」事業を立ち上げ、自ら全国の企業に訪問しISOコンサルティングとISO研修を提供、継続中。わかりやすく実践的なISOを提唱。ISO9001及びISO14001審査員補(JRCA登録)。
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[動画]「ISO審査の話」これで審査準備はもう不要
ISOの審査が大変で「やめたい」という企業もでるくらい審査は恐ろしい?(ブログ:やめた企業)。しかし、審査の意味がわかれば、審査準備も不要で、審査の目的を理解したら全く恐くありません。
[動画]ISO9001取得の意味、目的、効果
正しい理解をすれば、ISO9001の負担はありません。本来、ISO導入は会社にとって負担どころか、会社が良くなるプラスの効果が働くものです。決して間違った負担のあるISOにならないように。

ISO9001コンサルティング料金(人数別の料金表、社員2人~80人)