ISO9001は必要か?ISOをやめた企業とその理由

ISO9001は必要でしょうか?

ISOを必要と感じて、今から取得される企業も多くいらっしゃいますが、

苦労して取得したISOをやめた企業、やめる企業もいらっしゃいます。


当社はISO9001取得のコンサルティングを全国でしている会社です。

既にISO9001取得している企業から、「ISOをやめたい」という相談をこれまでに何度か受けたことがあります。

なぜ、ISO9001をやめたのか、2つの理由

なぜ、せっかく取得したISO9001認証をやめるのか、その理由に触れたいと思います。

主な理由を簡単に申し上げると、

ISO9001の維持に苦労されたり、ISOに振り回されたりしているからです。

「苦労する」「振り回される」という理由として、大きく「2つの原因」があります。

(1)大企業型のISOを導入している
   (自社に合っていないISOにしている)

(2)ISO審査の対応・考え方が間違っている



確かに2010年ごろまでのISO9001は取得するのも、その後の維持も手間ひまがかかる規格でした。

しかし、2022年現在、ISOは規格改定が進み、柔軟な規格となり、やり方によっては取得も維持も簡単な規格に変化しています。

ISO9001は柔軟な規格に改定されました、でも、それを知らない企業

ISOは時代に合わせて規格も解釈も進化しているのに、ISOをやめた企業、ISOをやめたい企業が出現するのは、いずれも古い間違ったISOを続けていることに原因があります。

既にISO9001を取得していてもご存じない方が多いのですが、

最新のISO9001は、目的や意味を理解すれば事業運営にプラスにも出来る規格に変化しています。

ISOをやめた企業、2つの原因を解説

これからISO9001を取得をされる企業には、ISOで苦労したり、振り回されたりしないように、「ISOをやめた」2つの原因をご理解いただきたく、 解説いたします。

1つ目の原因、大企業型の古いISOを導入

1つ目の原因は、大企業がやっているISOを導入している、つまり昔の古いISOのやり方を続けているという事です。

昔のISO9001は「品質保証システム」という大手製造業の品質管理手法をモデルとしていたため、中小企業にとっては取得するのも取得後の維持も、負担や手間ばかりがかかる規格でした。

2022年現在、ISOは進化して負担なく取得や維持ができる規格と進化していますが、10年前や20年前に取得した中小企業では、昔の手間のかかるISOを今でも苦労して続けている会社が大変多くあります。

既に取得している企業も負担のないISOに修正すれば良いのですが、そうして良いことや、変わったことを知らない、知っていても出来ない企業が大変多いのです。

ISO9001の経緯を知っておけば、負担のないISOに

ISO9001規格が変化している事と、ISOをやめる企業の原因や背景、これらをご理解いただければ、特にこれから取得する企業にとっては負担のないISOを実現できると思います。

(昔の話をしますが、是非、ご理解いただきたいことなので、続けてお付き合いください)

1990年代半ばから~2000年前後にかけて、多くの中小企業が大手企業との取引きを維持するため、開始する条件として、また当時であれば他社との優位性を図るために苦労しながらISO9001を取得し運用をはじめました。

ISOブームによる広がりで、悪評も広がる

当時のISO9001は苦労や負担を伴う規格でありましたが、ISOを持っていないと取引が縮小したり、新規取引ができなかったり、入札に参加できないといった事もあり、ISO9001の取得は製造業や建設業を中心にブームのように広がりました。

そのISOブームは中規模企業から始まり、小規模企業のISO取得へと拡大していくわけですが、当時、ISO9001を取得するためには、大手企業が行っている品質管理に近い手法を導入しなければならず、特に小規模企業がISO9001を導入することは大きな負担がありました。

それでも多くの中小企業が苦労したり時間をかけてISOを取得したのですが、ISO9001取得が広がるのと合わせて、「ISO9001は負担と手間がかかる」という悪評も一緒に広まり、中には「ISO9001は百害あって一利なし」と揶揄する人たちも出始めました。

大企業がコストと人数をかけて運用している品質管理の仕組みやルールを、少人数で資金も少ない小規模企業が導入して維持する訳ですから、

ISO9001は百害あって一利なしというのは、当時の小規模企業にとっては事実であったと思います。

ISO9001は柔軟な規格に大改訂された、しかし...

スポーツのルールが改定されるように、ISO9001規格も多くの企業にとってより良い仕組みとなるように改定がなされています。

ISO9001は2000年に規格の大改訂が行われ、それまでの大手製造業向けの「品質保証システム」という規格から、企業の業種や規模に関係なく運用できる「品質マネジメントシステム」という規格となりました。

ものづくりの規格からどんな企業も運用できる事業運営の規格へと生まれ変わりました。

それぞれの企業が自社が目指す目的(売上・利益、生産性、品質改善など目的は自由)を達成できる規格になりました。

この改定によってISOを取得している企業の負担が一気に減少すれば良かったのですが、改定の変化が反映されるには時間も要しました。

2000年に規格の大改訂が行われてもISO審査員やISOコンサルタントなど、ISO業界に染み付いた昔のISOに関する考え方はすぐに切替わりませんでした。

改定から10年経過する2010年前後ぐらいまでは、ISO業界も昔の「品質保証システム」のやり方を踏襲し続け、すぐに変化して良くなることはありませんでした。

(この事を書いている私も2010年ぐらいまでは変化にまだまだ柔軟に対応していたとは言えません。今となっては反省です。)

規格改定の解釈が広がり、本当の意味で柔軟な規格に

2000年に実施された大改訂以後、20年経過した現在のISO9001ですが、その間にISO9001規格もさらに2回の規格改定が行われ、今では、さらに負担のかからない柔軟な規格に進化しています。

ISO審査員やISOコンサルタントも昔の考え方から新しい規格解釈が定着しつつあり、柔軟な審査機関やコンサルタントも増えつつあります。

以上のようなISO9001の経緯があり今に至っています。

ISO9001規格は2000年以後、改定を重ねて柔軟な規格になっていますが、この事実を知らない方々がまだまだ非常に多いです。

既に取得されている企業でもご存じない方が多いのです。

(ISOをやめた企業の原因の話に戻ります)

規格が改定・変化したのに、なぜ古いISOを続けるか

ISO9001は改定が繰り返され、規格自体は柔軟な負担のかからない、取得しやすい規格に変化しています。

ただし、経緯でも解説したように2010年前後までは、まだまだ古いISOの名残があり、そのため、2010年頃までに取得した企業では、現在でも、昔の負担のかかる品質管理を苦労しながら維持運用しています。

「ISO9001は大変だよ」と今も言っている会社は、2010年以前に取得された会社が多いと思います。

ここで疑問を持たれると思います。

ISOが負担のかからない規格に変化したのであれば、既にISOを取得している企業も負担のかからないISOに変えれば良いのでは?という疑問です。

古いISOを変えられない理由

なぜ、古い昔のISOを続けているか?

ISO9001は、どんな企業でも負担なく取得して運用できる柔軟な規格に変化しています。

言い方を変えれば、

「どんなやり方をしても取得できる」

「負担のかかる昔のやり方でも、負担のかからない新しいやり方でもOK」

というのが現在のISO9001です。

そのため、昔の大企業の重厚なスタイルでも良いし、新しい考え方で柔軟なシンプルなスタイルでも良いのです。

2010年以前に取得した企業も新しいシンプルに変化すれば良いのですが、先にも述べているように「変化させて良い」という事実を知らない企業も多いのです。

規格が変化していることを知っている企業であっても、

柔軟でシンプルなISOにしたいと気持ちはあっても、一度、苦労して構築したルールや文書について、緩和したり無くしたり、今の形を壊して新しくするというのはなかなか出来ない現状があります。

(国の行政や規制をなかなか変えられないというのと似ている気がします)

そんな事情があって、2022年の現在でも古いISOを苦労して続けて「大変だ」「やめたい」という企業が多くいらっしゃいます。

これがISOをやめる企業、やめた企業が出ている1つの原因です。

やめた企業、もう1つの原因は「審査の対応」

もう1つの理由は、審査に関わることです。
こちらの話は別記事で用意しています。

この記事を書いた人

[この記事を書いた人]
長谷川 順  ISOコンサルタント、株式会社ウイズダムマネジメント代表。
1975年 京都府生まれ。現在、東京と関西を拠点に全国コンサル訪問を展開中。26歳で現職の経営コンサルティング会社に転職し、2004年・29歳のときに「ISO支援ネット」事業を立ち上げ、自ら全国の企業に訪問しISOコンサルティングとISO研修を提供、継続中。わかりやすく実践的なISOを提唱。ISO9001及びISO14001審査員補(JRCA登録)。

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[動画]ISO9001取得「活動・費用の負担は?」

ISOは大変、それは古い時期に取得した企業の話。古いやり方で取得した会社は今も負担と苦労が続いています。しかし、最新のISO9001は負担なく取得できます。その最新情報を説明します。


[動画]「ISO審査の話」これで審査準備はもう不要

ISOの審査が大変で「やめたい」という企業もでるくらい審査は恐ろしい?(ブログ:やめた企業)。しかし、審査の意味がわかれば、審査準備も不要で、審査の目的を理解したら全く恐くありません。


[動画]ISO9001取得の意味、目的、効果

正しい理解をすれば、ISO9001の負担はありません。本来、ISO導入は会社にとって負担どころか、会社が良くなるプラスの効果が働くものです。決して間違った負担のあるISOにならないように。



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