東京にあるアパレル会社からISO9001とISO14001の認証取得コンサルティングの依頼を受けました。
アパレル製品の企画開発から、専用の布地を製造する設備も抱えている会社です。
当社では、ISO9001と14001の同時取得は推奨していないので、まずはISO9001取得のコンサルからスタートしました。
はじめに当社を簡単に紹介します。当社・ISO支援ネットは、東京をはじめ全国の企業にISOコンサルティングを提供しています。
価格も全国一律で出張費も頂戴していませんので、是非、ご検討ください。
コンサルティング料金表(人数別)
アパレル会社のISO9001取得理由
さて、こちら東京のアパレル会社さんのISO取得理由ですが、服飾関係、衣料品ブランド会社とのBtoBの取引きが多く、これまでも顧客である取引先から「ISO9001を取得しているか」「ISO14001を取得しているか」と問合せや確認されることが多かったそうです。
過去、ジワジワとISO9001取得の必要性を感じる中、事業支援の補助金の関係で事業計画を立てる機会などもあり、自社の将来、継承などを考えると早い段階でISOを取得していた方が良いという決断に至ったそうです。
服飾関係の展示会に出展することもよくあるそうですが、展示会では全く新規のお客様との出会うわけですが、相手企業からすると自社がどんな会社か、取引きをしても良い会社かどうか未知な中で、ISO取得について確認されることもあったそうです。
アパレル業界でのISO9001取得動向
ISO9001を取得するのは製造業、建設業が圧倒的に多いわけですが、近年は業種業界に関係なくISO取得が広がっています。
アパレル、服飾関係の分野では独自の業界構造や工程ごとに分業化されるなど大手のブランドメーカーをはじめ商品企画や縫製などに特化した専門会社など業界の幅が広く、規模も様々です。
そんな中でも工場機能を主体とした衣料品製造のメーカー(工場)であればISOを取得している会社も多いと思いますが、こちらの東京の会社のようにアパレル製品の企画開発をしている会社でISO9001を取得している会社はまだまだ少ないのではないでしょうか。
しかしながら、今回ISO9001を取得したこちらのアパレル会社さんのように、BtoBの取引を主体としている会社や、さらに大手企業との取引きや海外との取引きをしていく会社にとってはまずはISO9001が必要となり、今後、規模に関わらずアパレル・服飾業界でもISOを取得する会社は増えていくと想像します。
ISO9001って何をするの?アパレル会社編
アパレル会社であってもISO9001取得のために必要なことは変わりません。
ISO9001取得のために必要なことは、自社の業務ルールを明確にすることです。
言い方を変えると、
日々の業務の流れを明確にすることです。
明確にするには「大量のISO文書が必要」と勘違いされている方も多いのですが、明確にするとは、説明できるようにする、という意味です。
こちら東京のアパレル会社では、製品開発にあたってはお客様との打合せによって、被服等の製品の大まかな仕様が決まり、その打合せ内容を基に試作、その試作製品をお客様に見てもらい、修正が発生し、そして確認、試作段階で製品化が決定すれば、量産という流れです。
どこのアパレル会社さんも詳細は違っても同じような流れではないでしょうか。
こちらのアパレル会社さんも、お客様や製品によっては多少の流れが変わることもありますが、大まかにはこの流れで仕事をされていました。
業務ルールの詳細さについて、どこまで細かく決めるか、ある程度大まかに決めるなど、これは自社の判断によって決定して良いのが現在のISO9001です。
業務の流れの中で、この事は重要だから絶対に外せないということであれば、詳細にルールを決めれば良いですが、この辺の業務は色々パターンががあるから、少し緩やかなルールにしておこうなど、やり方は自由です。
当社・ISO支援ネットのコンサルティングでは、取得される企業の業務の流れをヒアリングさせていただき、各企業様にあったルール整備(=品質マニュアルの代理作成)をお手伝いしています。
ISO9001の取得や運用の負担はどれくらいなのか
「ISOって大変だ」という噂を聞いたことがある方も多いと思うのですが、「大変だ!」って言っている会社は、ISO取得する際の業務のルールを整備の仕方に問題があります。
取得や運用の負担が大きい会社は、別の会社のISOのやり方をマネしたり、業務ルールの緩急が悪く隅から隅までガチガチのルールで縛っている場合がほとんどです。
それらは、ISOが始まったばかりの流れを引き継いでいた20年以上前(1990年代~2010年頃)のISOのやり方です。
当時のISO9001取得は、規模や業種に関係なくどんな会社であっても大手製造業の品質管理のやり方、それを導入しないとISO取得ができませんでした。
審査機関の審査員も、コンサルタントもそれがISOだと思っていました。
当時、取引上でISO取得が必須のために導入した企業は、皆さん苦労をされてISOを取得し、そのISOを維持するために今でも苦労が続いている会社も多いのです。
しかしながら、現在のISO9001は規格の改定も進み、審査機関、コンサルタントの考え方も柔軟になりつつあり、大手製造業の真似ではなく、自社の業務のやり方、自分たちの業務ルールを明確にすれば良いですよ。という規格になっています。
加えて、昔のISOはルールをはじめ何でも文書化を要求していて、取得するには大量の文書づくりが必須でしたが、今では「ルール=文書化」ではなく、「ルール=明確化」となり説明ができれば良いということになっています。
負担のないISO9001を推奨
当社・ISO支援ネットのコンサルティングでは、負担のないISO取得、負担のないISO運用を推奨しています。
今現在でも、ISOコンサルタントの中には、ISO取得のためには、「あれやれ、これやれ」「この文書が必要だ」「こんな文書を作れ」と大企業型の負担がかかるISO導入をコンサルしている方もいらっしゃいます。
(これはこれで考えがあってのことで決して悪い事ではありません)
当社・ISO支援ネットでは、ISOのために業務負担やコスト負担が増えるのは企業のためではないと考えています。
ISO9001規格が目的としているのは「顧客満足」や「改善」です。本来、ISOを導入した企業は顧客満足が向上し業務が改善され、売上やコスト(利益)が向上するはずの規格です。
ISOを導入することで企業にとってメリットが得られるべきで、負担やコストばかり増えては誰のためのISOなのか判りません
アパレル会社がISO9001を導入した感想、効果
こちら東京のアパレル会社さんも、ISOコンサルティングが始まって、どんなISOにするか社内から色んな意見を出し合ってもらいながら、品質マニュアルを代理作成させてもらい、マニュアル通りの活動をはじめました。
品質マニュアルはこれまでの日常業務を基に作成しているので、マニュアルが出来たからからと言って仕事のやり方が変わる訳ではありません。基本的にはこれまでの仕事のやり方で良いのです。
しかし、活動する中で、「これは記録に残しておいた方が社内的に良い」など口頭で済ませていた事を改善したり、「こんなときはどうする」という感じで曖昧だったルールを整理するなど、改善をする考え方が社内に出来つつあります。
こちらのアパレル会社の経営者の方も、ISO9001を導入することで社内の活動が整備されたり、コミュニケーションがよくなったと、早速、ISOの効果を感じられていました。
ISO9001の審査、まとめ
先に述べた昔のISO9001は、取得のためにルールを強制的に変えられたり、必用と感じない文書や記録を作成させられたり、「ISOのために仕方なくやる」といった事が多く、従業員の方もISOを苦痛と感じる人が多かったと思います。
現在のISO活動は、自社が必用であればするという考えが重要です。誰かにやらされる事ほど負担や苦痛に感じることはありません。
こちらのアパレル会社もISO審査を受けられて、審査員から多少の指摘をもらいました。
審査では指摘をもらうのを嫌がる会社も多いのですが、審査は指摘をもらうためにするものです。
審査は改善の機会なので、指摘は審査員からの改善提案として捉えてください。審査員も人なので、審査員が変わると指摘の内容も全く異なり、自社の考えに合わない指摘もあります。
なので当社のコンサルタントは審査を受ける企業の方に、次のようにお話しています。
「審査の準備は必要ありません、ありのままを見てもらって、良い指摘に対して改善すればOKです」
「審査員の指摘の中にはときどき的外れのこともあるので、そのような指摘に対応する必要はありません」
「全ての指摘に対応していると、審査員に振り回され自社のスタイルを失うことにもなりかねません」
ISOをISOのための活動にするのは決してお奨めできません。
自社がどうしたいか、どんな活動にしたいかで判断することが重要です。
[この記事を書いた人]
長谷川 順 ISOコンサルタント、株式会社ウイズダムマネジメント代表。
1975年 京都府生まれ。現在、東京と関西を拠点に全国コンサル訪問を展開中。26歳で現職の経営コンサルティング会社に転職し、2004年・29歳のときに「ISO支援ネット」事業を立ち上げ、自ら全国の企業に訪問しISOコンサルティングとISO研修を提供、継続中。わかりやすく実践的なISOを提唱。ISO9001及びISO14001審査員補(JRCA登録)。
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[動画]ISO9001取得「活動・費用の負担は?」
ISOは大変、それは古い時期に取得した企業の話。古いやり方で取得した会社は今も負担と苦労が続いています。しかし、最新のISO9001は負担なく取得できます。その最新情報を説明します。
[動画]「ISO審査の話」これで審査準備はもう不要
ISOの審査が大変で「やめたい」という企業もでるくらい審査は恐ろしい?(ブログ:やめた企業)。しかし、審査の意味がわかれば、審査準備も不要で、審査の目的を理解したら全く恐くありません。
[動画]ISO9001取得の意味、目的、効果
正しい理解をすれば、ISO9001の負担はありません。本来、ISO導入は会社にとって負担どころか、会社が良くなるプラスの効果が働くものです。決して間違った負担のあるISOにならないように。
ISO9001コンサルティング料金(人数別の料金表、社員2人~80人)