岡山県にてISO9001・ISO14001のコンサルティングをして参りました。
すでに品質と環境の両規格の認証取得をしている岡山県の企業様ですが、この度、ISOの適用範囲を変更されるということでコンサルして参りました。
ISOの適用範囲というのは、
ISO9001・ISO14001のいずれも適用範囲というのを明確にして、取得する必要があります。
適用範囲は、2つの範囲を明確にする必要があります。
1つは、何をしているかという「事業」の範囲と、
もう1つは、どこでしているかという「場所(事業所)」の範囲です。
「事業」の適用範囲についてですが、
機械設備を製造しているメーカーであれば、適用範囲は「〇〇機械の設計・製造」というのがよくある適用範囲になります。どんな表現にするかは自由です。
当社は設計開発はしていなくて、製造だけしているよという会社であれば、
「〇〇機械の製造」が一般的な適用範囲の表現です。
企業によっては、異なる複数の事業を営んでいる会社があります。
機械の製造だけではなく、ソフトウェアの開発もしていて、ソフトの販売もしているということであれば、それも事業です。
この2つの事業でISOを取得するとなると、適用範囲は次のような感じになります。
1.〇〇機械の設計・製造
2.ソフトウェアの開発・販売
しかし、会社が2つの事業をしているからと言って、2つ両方の事業でISOを取得する必要はありません。
事情によっては、どちらか一方の事業を適用範囲にして取得することも可能です。
上の例であれば、「〇〇機械の設計・製造」もしくは「ソフトウェアの開発・販売」のどちらかのみでISOを取得することは可能です。
しかし、次のように1つの一貫した事業の中で、一部を除外して適用範囲にして取得することはできません。
例えば、1つの拠点で機械設備の開発設計と製造をしているのに、「開発設計」を適用除外にして、 「機械設備の製造」という事業だけでISOを取得することはできません。
この場合は、開発設計を含めてシステム構築をしてISOを取得する必要があります。
ただし、設計と製造が別の拠点所在地(住所)で活動している場合はこの限りではありません。
2つ目の適用範囲「事業所(場所)」について、
企業によっては、複数の離れた事業所で事業を行っている場合があります。
これには色んなケースが考えられます。
例えば、「機械設備の開発と製造」を事業としている会社で、
営業部門と開発部門は、岡山市街の事業所で活動していて、製造部門がある工場は同じ岡山市内でも郊外の工場建屋で活動している。
物理的に2つの場所(住所)に別れて事業を行っている場合は、企業側の判断でそれぞれを独立した活動としてどちらか1つの拠点だけでISOを取得することが可能です。また、場所は別れているが、1つの活動してISOを取得することも可能です。
全ての事業所を含めて1つのマネジメントシステムとしてISOを取得する場合は、2つの事業所(住所)を適用範囲として審査を受けるだけです。
上記の、岡山市街に開発部門があり、岡山市郊外に製造部門の工場がある場合、どちらか1つの事業所だけでISOを取得することが可能です。
同じ会社でも、それぞれの部門や事業が完全に異なる住所の拠点で活動している場合、仕事の流れや関係性に関係なく、一拠点だけで取得することが可能です。
当然、全ての拠点を含めての取得も可能ですし、10拠点あるなかの3拠点で取得するといったことも可能です。
とにかく拠点の住所が少しでも異なる場合は、拠点単位でISO取得に含める含めないを企業側で判断することができます。
適用範囲に関して、一般的な考え方であれば、拠点に関係なく全体で取得するということが理想だと考えますが、企業の負担やコスト、その他様々な事情によって特殊な形態の適用範囲で取得している企業もあります。
コンサルタントは、審査をする立場ではなく、企業を取得させる立場なので、お客様である企業の要望に応えるべく、いろんな知恵を絞って、適用範囲を考えるお手伝いもしています。
適用範囲を決定するにあたって、適用範囲が良いかどうかの最終判断は、審査機関が行うので、審査機関がOKを出してくれる適用範囲にしなければなりません。
今回、コンサルさせていただいた岡山県の企業も、ISO9001とISO14001をすでに取得されていましたが、いびつな適用範囲でシステム運用をされていました。
会社にはいくつか事業所があり、組織を縦のラインに区切った一部で取得されていたので、1つの会社内で同じ仕事をしていても、所属する部門や場所によって、ISOの適用範囲に含まれたり、含まれなかったりと、バランスが悪い取り方をされていました。
この会社では、ISOを維持するためには仕方がないと考えられていたようですが、会社の一部で取得するにも、スッキリとした取り方があることをお伝えして、システムを軽くして負担のないような適用範囲に変更させていただきました。
2015年版移行と適用範囲の変更の審査も無事にパスして、気持ちよく運用いただいていると思います。
[この記事を書いた人]
長谷川 順 ISOコンサルタント、株式会社ウイズダムマネジメント代表。
1975年 京都府生まれ。現在、東京と関西を拠点に全国コンサル訪問を展開中。26歳で現職の経営コンサルティング会社に転職し、2004年・29歳のときに「ISO支援ネット」事業を立ち上げ、自ら全国の企業に訪問しISOコンサルティングとISO研修を提供、継続中。わかりやすく実践的なISOを提唱。ISO9001及びISO14001審査員補(JRCA登録)。
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正しい理解をすれば、ISO9001の負担はありません。本来、ISO導入は会社にとって負担どころか、会社が良くなるプラスの効果が働くものです。決して間違った負担のあるISOにならないように。

ISO9001コンサルティング料金(人数別の料金表、社員2人~80人)