ISOコンサルタントのISO支援ネットです。
これからISOを取得される企業の心配事の1つに、文書の作成や文書管理の負担があると思います。
今回は、ISOで文書作成や文書管理に追われない方法をご紹介します。
ISOと文書について、
- ISOを取るためには文書をたくさん作成しないといけない
- ISOを取ると文書が増える
- 文書の管理が大変になる
- 記録をたくさん残さないといけない
こんな噂や、誰かが話す実体験をお聞きしたことがあるのではないでしょうか。
事実、ISOを取得された企業では、このような文書のことで困っている企業も多くあると思います。
しかし、当社がコンサルティングをする企業では、ISOを取得したからと言って、このような文書の困りごとに合うことはありません。
文書作成や管理に振り回されている企業がある一方、文書のことで困らない企業がある違いは何か、
まず、文書作成や管理に困っている企業では、次の2つの原因が考えられます。
1つは、10年以上もっと前にISOを取得した。
もう1つは、大企業のやり方を模倣した。
困っている企業では、これらのいずれか、1つ以上に該当するはずです。
この原因について説明いたします。
[10年以上まえ、昔に取得した企業]
例えばISO9001では、昔はたくさんの文書作成や、手のかかる文書管理をしなければなりませんでした。それが昔のISO9001でした。
ISO9001規格は定期的に国際規格(要求事項)が改正されていますし、取得や運用方法についても、スタイルが変化していっています。
特に2000年以前もしくはそれ前後に取得した企業は、まだまだ重い文書負担があるスタイルが主流でした。
当時は「ISO9001ではこのような文書が必須だ」と審査員もコンサルタントも沢山の文書が必要だと考えていました。
昔に取得した企業では、いまもそのやり方を踏襲して、「ISO9001は大変だ」と実体験を基とした悪評を振り撒いています。
[大企業のやり方を模倣した企業]
多くの大企業は、ISO9001を1990年代に取得しています。
先に説明した文書管理が大変なスタイルの時代です。
しかし、取得しているのは大企業ですから文書管理をする人員もいるし、そもそも文書の管理は慣れたものです。
大変なのは、当時にISO9001を取得した中規模・小規模の企業です。
当時は、大企業の取得や運用のスタイルが主流で、審査員もコンサルタントも多くが大企業の出身、そんな中で中規模・小規模の企業も大企業並みの文書作成や管理を強いられました。
人員も少なく、管理にも慣れていない企業にとって、文書負担が大きく圧し掛かったのは想像のとおりです。
[現在の取得と運用のスタイル]
ISO9001は2008年、2015年と規格改正が行われ、そして取得する企業も、中規模・小規模の企業が多くを占め、いまは各企業にあったスタイルで取得しています。
ISO9001規格が要求しているのは、「必要な文書は作成しなさい」、「必要な程度の管理をしなさい」と幅のある柔軟な要求になっています。
文書がないと仕事が上手くいかない、文書がないと不具合や事故が発生する、そんな場合は文書が必要ですし、文書がなくても問題ないのであれば、その文書は不要です。
管理も同様に、厳重な管理の仕方でも、簡易的な管理の仕方でも、そこにリスクや問題が生じる可能性の大きい・小さいで判断すれば良いのです。
[ISO支援ネットの文書の考え]
当社のコンサルティングは、まずは現状のやり方をシステム化するとい方針です。いま必要としていないものを、ISO9001を取得するからと言って新たに追加する必要はありません。
ただし、品質マニュアルは「あった方が良い」と考えています。
品質マニュアルは、自社の仕事の大筋が書かれたもので、自社のルールであり、お客様や第三者に適切な品質管理をしていると立証できるものです。(本来、第三者に見せるものではありません)
必要なのは大企業のような分厚い、重厚なマニュアルではなく、シンプルで必要最低限のことが書かれた品質マニュアルです。
これから取得する企業が品質マニュアルを一から作成するのは負担なので、当社の場合は、コンサルタントがヒアリングをさせていただき、コンサルタントが代理作成を行っています。
いまやっている仕事のやり方をそのまま品質マニュアルにルール化します。また、こと細かな手順を書くものでもありません。大筋を説明できるものです。
なので、品質マニュアルができたからと言って、仕事のやり方や負担が変わるわけではありません。
[手順を文書にしないといけない?文書化の必要性]
ISO9001を取得するためには、仕事の手順を文書化しないといけないと思われている方もまだまだ多くいらっしゃいますが、そうではありません。
現在のISO9001規格が要求しているのは、文書化ではなく、ルールの明確化です。
企業内でルールが確立されていて、その通り仕事をしているかということです。
少年サッカーチームに入ると、ルールブックを読み込むかというと、そうではないはずです。
ボールに触れながら、実践しなががらルールを覚えていって、自然と、サッカーのルールがチームで共有されているはずです。
ISO9001における企業のルールも同じです。仕事のやり方が文書化されていなくても、社員の中でルールが確立され、共有されていれば「ルールが明確化」されていると言えます。
そう考えると、多くの企業が仕事の手順を文書化する必要なないと言えます。それで良いのです。
それでも、「当社にとっては文書が必要」と考える会社は、文書化をすれば良いですし、ISOのために文書を作成する必要はありません。
コンサルティングも研修も、いずれも全国対応しています。
[この記事を書いた人]
長谷川 順 ISOコンサルタント、株式会社ウイズダムマネジメント代表。
1975年 京都府生まれ。現在、東京と関西を拠点に全国コンサル訪問を展開中。26歳で現職の経営コンサルティング会社に転職し、2004年・29歳のときに「ISO支援ネット」事業を立ち上げ、自ら全国の企業に訪問しISOコンサルティングとISO研修を提供、継続中。わかりやすく実践的なISOを提唱。ISO9001及びISO14001審査員補(JRCA登録)。
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正しい理解をすれば、ISO9001の負担はありません。本来、ISO導入は会社にとって負担どころか、会社が良くなるプラスの効果が働くものです。決して間違った負担のあるISOにならないように。
ISO9001コンサルティング料金(人数別の料金表、社員2人~80人)