先日、京都の鹿児島県人会の集まりに参加してきました。
私は鹿児島出身者ではないのですが、先輩のお誘いで、ここ数年、毎年参加させてもらっています。
京都の鹿児島県人会の会長は、京セラの稲盛さん。
過去の集まりでは、稲盛さんのJAL再生の講話などを聴かせていただき、とても貴重な機会となっています。
さて、今回は「小規模企業のISO9001は大変か?」という疑問について誤解を解きたいと思います。
その鹿児島県人会で席が同じになったある経営者が、私がISO9001のコンサルティングをしていると知ると「うちみたいな零細企業がISO9001は大変でしょ」とご質問をいただきました。
その方とは互いに自己紹介をする中での話でしたので、「従業員3人や10人以下の会社のコンサルもしていますが、皆さん負担なく取得されてますよ」と簡単なお返事だけをしました。
この経営者の方と同じく、「小規模企業でISO9001の取得は無理」とか「社員10人以下の会社ではISO9001の運用は大変」と思っていらっしゃる方が沢山いらっしゃると思います。
過去にも、製造業の経営者から「取引先からISO9001の要請があるから取りたいけど、うちのレベルではまだ無理」と話をされることがありました。
「小規模企業では難しい」と謙遜されてお話されている方もいると思うのですが、「規模が小さいから取得が難しい」というのは全くの誤解です。
正直、小規模企業、少人数だからこそ、ISO9001は取得すべきです。
補足をすると、人数の問題ではありません。
会社組織として、問題を感じている企業・組織こそ、ISO9001を取得すべきです。
「取得するべき理由」と、「取得は難しいのか」という2点について、お話します。
[取得するべき理由]
ひと昔まえまでは「ISO9001は品質保証の国際規格」という大規模の製造業向けの堅苦しい内容であったのことは事実で、今でもそのイメージを抱えている方も多いと思います。
しかし、ISO9001は規格の改正を重ねて要求事項が変化しています。現在のISO9001(2015年版)は、組織運営のマネジメントツールです。
昔の堅苦しい、重苦しい規格ではなくなり、自由度の高い柔軟な規格になりました。
いまのISO9001規格の狙いは、どんな業種・業態、どんな規模の組織でも、ISO9001を運用することで、組織管理が「上手くいく」ことを導入の目的としています。
「上手くいく」とは、何をもって良しとするか、組織や事業によって、考えや方針、文化が違うと思いますが、その企業が目指していること、それを達成するための組織運営のマネジメントツールです。
企業や組織によって目指すことが違うというのは、例えば、
・もっと売上・利益をあげたい
・生産性を上げたい
・管理レベルをあげたい
・サービスを向上したい
・事故を少なくしたい
・仕事の負担や無駄を少なくしたい
・社員の意識を向上させたい
・社員を幸せにしたい
・楽しい会社にしたい
・コストを抑えたい(節約をしたい)
など、色々あると思いますが、「何でも、どんなことでも構いません」その目的を達成するためのツールです。
ISO9001は、ある一定以上の管理レベルに到達している企業が取得するものではありません。(それは昔の話です)
現在のISO9001は、「うちは まだ無理」と何か問題を抱えている企業こそ、取得すべきです。
問題とは、例えば、
・職場の整理整頓ができていない
・不良がよく出る
・従業員の教育や躾ができていない
・個人任せの管理になっている
・事故がよく発生する
・コミュニケーション不足
など
ISO9001は、企業や組織の課題や問題を改善の方向に導くマネジメントツールで、
「取得はまだ無理」と組織として未熟であったり、不足があったり、問題があることを認識ししている企業・組織こそが、それらを解決するためのツールとしてISO9001を導入すべきです。
ここで、もう1つの誤解を解きたいと思います。
「取得は難しいのか」
ISO9001を取得して導入して、会社が改善されるのは良いが、
「取得のための準備」と、「取得後の運用が大変なのでは」、
「小規模企業では負担が大きいのでは」
という思いがあると思います。それも誤解です。
ISO9001を取得するから、取得したからと言って、
仕事のやり方を変える必要はありません。
文書を増やしたり、記録をたくさん残す必要もありません。
(ISO用の文書をたくさん作成するというのは昔のISOです)
では、何が必要か、
ISO9001で必要なのは「仕組み」です。
仕組みの言い方を変えると、ルールです。
ルールと聞くと、大変そうに感じますが、ルールがない会社はありません。
ルールの言い方を変えると、仕事の流れです。
どんな会社でも、大まかな仕事の流れがあるはずです。
「当社では、この様に注文を受けて製品を出荷しています」
「お客様の依頼を受けて、この様にサービスを提供しています」
と、仕事の流れを説明できれば、そこには立派なルールがあると言えます。
現在のISO9001(2015年版)は、自由度が高く、柔軟な規格なので、
仕事のやり方について、ルールを変えないといけない、文書や記録を増やさないといけないことは、全くありません。
ISO9001が組織運営のマネジメントツールと言われるのは、自社に改善の機能が備わるからです。
ISO9001の取得条件は、仕組みをつくることと、その仕組みにチェック機能を含めることを要求しています。
仕組みは仕事の流れとして既にあるので、あとはチェック機能を備えれば良いだけです。
チェック機能は、有難いことにISO9001規格が用意してくれています。
例えば、内部監査やマネジメントレビューと言われるチェック機能です。
一からチェック機能を考えて実行しなさい。と言われると大変ですが、ISOがやり方を用意してくれているので、それを備えるだけです。
内部監査やマネジメントレビューという言葉から、難しいイメージをされるかもしれませんが、これも何ら大変なことではありません。
当社「ISO支援ネット」は、少人数の企業が取得できやすいように、
マニュアルの作成代行、内部監査の研修、マネジメントレビューのフォーマット提供など、負担なく取得して、運用後も負担なく維持できることを考えています。
コンサルティング料金も、組織の人数別で設定しているので、10人以下の会社ではお得に取得できます。
詳しくは、当社のホームページをご覧ください。
[この記事を書いた人]
長谷川 順 ISOコンサルタント、株式会社ウイズダムマネジメント代表。
1975年 京都府生まれ。現在、東京と関西を拠点に全国コンサル訪問を展開中。26歳で現職の経営コンサルティング会社に転職し、2004年・29歳のときに「ISO支援ネット」事業を立ち上げ、自ら全国の企業に訪問しISOコンサルティングとISO研修を提供、継続中。わかりやすく実践的なISOを提唱。ISO9001及びISO14001審査員補(JRCA登録)。
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正しい理解をすれば、ISO9001の負担はありません。本来、ISO導入は会社にとって負担どころか、会社が良くなるプラスの効果が働くものです。決して間違った負担のあるISOにならないように。
ISO9001コンサルティング料金(人数別の料金表、社員2人~80人)