管理責任者は必要、それとも不要?を解説

以前、ISO取得のコンサルティングをさせていただいたお客様から「管理責任者は必要ですか」とご質問をいただきました。

ISOを既に取得している企業で管理責任者を立てている会社は多いと思います。

ISO9001とISO14001は、2015年に規格が改定されてから、品質管理責任者(環境管理責任者)を設置する要求事項がなくなりました。

改定前は、規格の要求事項に「管理責任者を設置しなさい」という具体的な要求が記載されていましたが、「管理責任者」という言葉がなくなりました。

管理責任者を立てる必要はなくなったのです。

企業のありのままの組織体制でシステム運用をしてくださいという趣旨です。

 

2015年版が改定される以前に、私が認証取得のコンサルティングをして、要求事項に従って管理責任者を設置していた企業でも、規格改定に伴い、システムやマニュアルから管理責任者を削除した企業もあります。

 

また、2015年版になってから新たに取得した企業ですが、管理責任者を設置して運用している企業もあります。

 

規格の要求事項から「管理責任者」という言葉がなくなりましたが、
管理責任者を設置するか、しないかは、必要があるか、必要がないか、企業のそれぞれの事情で決めるのが一番です。

[管理責任者が必要のないケース]

以前の規格要求での管理責任者の主な役割は、システム運用のリーダーで運用をとりまとめるのが役割です。

・管理責任者の役職をつくらなくても(削除しても)、システム運用に問題がない

既に取得している企業で、これまで管理責任者がいたけど、これから無くしたい企業では、無くすことで、これまで管理責任者がしていた仕事を誰がするのか?

・引き継ぐ人がいる

・形だけの管理責任者で何もしていなかったので問題ない

・管理責任者=総務部長なので、管理責任者の名前を外しても問題ない

 

[管理責任者が必要なケース]

・ISOやシステム運用を取りまとめる新たな役職が必要

・社内において運用担当者の重みをもたせたい

・システム運用の責任権限が委譲・移譲するかもしれない
(いまは製造部長が管理責任者だが、将来は開発部長が担当するかもしれない)

 

[既にある管理責任者をなくす方法]

品質マニュアル・環境マニュアルに品質管理責任者・環境管理責任者の名称をなくす。

マニュアルの主語に、「管理責任者は~」となっている場合は、代わりとなる主語に置き換えましょう。

例えば、社長は、工場長は、〇〇部長など、もしくは、「当社は」としても良いでしょう。

組織図やフロー図などに、管理責任者の名称がある場合は、削除するか、別の役職または部門名に振り分けましょう。

例えば、管理責任者となっていた箇所を、〇〇部長や〇〇部などに変えます。

また、組織図などで、無理やり管理責任者の枠を挿入していたような場合は、削除するだけで結構です。

 

組織体制やマニュアルを変えるにあたって、「ISO的にこれで良いのかな?」と不安に思うことがあると思います。

私は、コンサル先のお客様にも申し上げますが

「ISOのことを一切気にする必要はありません」

「自社が良ければそれでOKです」

企業はISOのための活動をしているのでありません。従って、ISOに合わせることで、自分たちの良さが無くなるようなことはしないで欲しいのです。

自分たちが「こうありたい」と思うやり方や体制をつくることを優先してください。

その状態をISOの要求に合致させるのが当社のコンサルタントの仕事だと考えています。


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[この記事を書いた人]
長谷川 順  ISOコンサルタント、株式会社ウイズダムマネジメント代表。
1975年 京都府生まれ。現在、東京と関西を拠点に全国コンサル訪問を展開中。26歳で現職の経営コンサルティング会社に転職し、2004年・29歳のときに「ISO支援ネット」事業を立ち上げ、自ら全国の企業に訪問しISOコンサルティングとISO研修を提供、継続中。わかりやすく実践的なISOを提唱。ISO9001及びISO14001審査員補(JRCA登録)。

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