商社の設計開発(企画)の考え。名古屋でISO9001コンサル中です。

愛知県名古屋の商社で、ISO9001の認証取得コンサルティングをしています。

2020年から2021年にかけて、愛知県の企業に訪問する頻度がとても多いです。

ISO研修なども含めて、この1年では愛知県の企業からISO関連のご依頼を一番多くいただいているかもしれません。

名古屋をはじめ、愛知県には自動車関連の企業が多く、品質規格との関わりのある企業が多いせいでしょうね。

商社のISO9001が増えている

また、現在、名古屋にて商社のISOコンサルティングをしていますが、

ここ数年、商社がISO9001を認証取得するということで、商社事業をされている会社からのISOコンサルティング依頼が増えています。

名古屋の会社は、機械部品を工場に販売している商社ですが、

こちら以外にも、最近では、

・化学品材料の輸出商社

・住宅の内装設備製品の企画販売商社

・製造装置部品の企画販売商社

・化学素材の輸入商社

・機械装置の企画販売商社

と様々な商社のISO9001取得のコンサルティングをしています。

遡れば、もっと多くの商社の支援をしてきましたが、ここ数年は特に増えている気がします。

ISO9001が必要な商社の傾向

最近の傾向としては、

輸出入をする貿易商社、海外取引のある商社がISO9001認証取得を必要とされていること、

それから、商品卸の販売だけではなく自社で企画開発をしている商社の認証取得も増えています。

商社での企画(設計開発)について

上記に列挙した中で「企画販売」と書いている商社がそれですが、

「企画販売」いわゆる設計開発にあたる業務をしている商社は、ISO9001の8.3項「設計開発」に関する要求事項を順守する必要があります。

通常の製品卸(販売)だけの商社は「企画開発」や「設計」の業務・機能を保有しないとして、8.3項「設計開発」の要求事項は該当せず、適用除外(非適用)とすることが可能です。

商社であっても、ファブレスメーカーというポジションで設計を自社で行っている企業であれば、8.3項の要求事項は必ず適用して順守する必要があります。

近年、商社からファブレスメーカーへと移行している企業も多いですね。

設計開発(企画)を適用するか、条件

商社の中には、

企画(設計開発)をしているか、していないか、どちらにも取れるような会社もあります。

そんな時は、ISOの意図や要求事項を説明したり、商社側の考えをお聞きした上で、

「企画(設計開発)を含めてISO9001を取得するか、最終的に判断します」

商社がISO9001の認証取得をするとき、設計開発を適用するか、適用除外(非適用)とするかは、企業側やコンサルタントが選べるものではありません。

設計開発を適用する会社、しない会社

客観的に見て、設計開発をしているのであれば、当然、8.3項「設計開発」の要求事項を適用(順守)しなければなりません。

選べるというより、適切に判断するというのが正しい言い方ですが、設計開発をしているか、していないか、どちらにも取れるようなケースに限って検討が必要になります。

商社に限らず、設計を含めるか、含めないか、検討しなければならない企業は、製造業や建設工事業にも案外多いものです。

例えば、お客様である発注者の図面・仕様通りに、加工や工事をするという企業では、設計開発はしていない、と判断するケースもありますし、

同様のケースでも、発注者から図面を提供されていても、製品化や施工を実現するために、改めて自社で図面や詳細仕様、工程などを設計するという場合は、設計開発が適用されるというケースもあります。

設計開発を適用すると、どうなる?

さて、設計開発の要求事項を適用して取得した場合と、設計開発を含めず、適用除外にして取得した場合と、何がどのように異なるのか

正直、あまり大きな違いはないと感じているのですが、

違いを言うなら2つの事があります。

認証書に設計開発の文字を入れられる、その効果は?

1つ目は、ISO9001の認証書には適用範囲(適用業務)として事業名が記載されるので、

「○○の企画・販売」

「○○製品の設計、販売」

と「企画」や「設計」をしていることを認証書の事業名に表現として盛り込むことができます。

認証書の事業内容の記載に「企画」や「設計」を含めることは、良いことと思えますが、実際の効果として、大きなプラスになることは多くないと思います。

例えば、取引先のお客様からISO9001取得を要請された場合でも、お客様が気にしているのは、ISOを取得しているか、していないか、認証取得の可否であって、

適用事業の表現まで気にして、設計を含んでいるか、いないかを気にするケースは稀かと考えます。

仮に、設計の要求事項を適用して認証取得をしている商社であっても、認証書の適用範囲の表現は「○○の販売」として、設計を前面にしていないケースもあると思います。

ISO9001要求事項、8.3項「設計開発」の順守が必須

2つ目は、ISO9001の8.3項「設計開発」の要求事項を順守しなければならないということです。

主にどんな要求で何を順守(実行)しないかと言うと、

会社として設計開発(企画)をどのように進行するか、流れや手順(ルール)を定め、

日々の設計開発業務を定めたルール通りに進める、

実際に実施した設計開発(企画)について、どのような依頼(ニーズ)で始まり、どのように進めたのか、トレーサビリティや検証、変更等の記録を残しておく、

これらの事が必要になります。

決して難しいことではありません。

上記のことは、当たり前として、やるべき事かと思います。

なので、通常であれば、現状の設計開発(企画)で実行していることを、そのままをルールとして捉え、業務を続けてもらえればOKです。

(当社・ISO支援ネットの場合は、貴社の設計企画の業務内容をコンサルタントがヒアリングして、当社にてマニュアル化、ルール化します)

商社の現状と、設計開発の適用の難易度

しかしながら、

「この設計開発の要求は難しい」

「設計開発の要求は適用したくない」

と考える商社もいらっしゃると思います。

当社がこれまで商社のISOコンサルティングしてきた中で、設計開発をしているけれども、設計開発のルールが社内で共有化されていない、そんな企業はけっこう多くありました。

商社として設計開発をしているが、その仕事の進め方は、

・営業個人に任せていて、

・それぞれの営業担当が個人商店のように、お客様の要望を基に仕事を進めている、

・その進捗は担当者しか判らない、

この様なケースが多くありました。

企画業務をしている商社の「あるある」事例ではないかと思うぐらい、多いと感じています。

ISO9001を取得することを機会に、社内の設計開発(企画)業務の手順を明確化することは、非常に良い事かと考えます。

当社の経験上、営業の方は、企画業務をルール化することを非常に嫌がりますが、嫌がる一方、やならければいけない事だとも、誰もが理解されています。

ISO導入を嫌がる社員、その対策

これまでの経験上ですが、

営業部門や営業担当は、ISO導入を嫌がるケースが非常に多いです。

取引先はISO取得を推奨するが、それをどうにか避けて凌いで来たという会社も多いです。

営業の人は、営業成績は確保するから、仕事のやり方は自由にさせてくれという考えの人が多くいらっしゃいます。

その気持ちはとてもよくわかります。

なので、社内でISOに対するアレルギーがある場合は、あまりルールを厳格化し過ぎず、業務を進行過程の通過するポイントだけをいくつか押さえ、それ以外は各担当者に自由度を持たせることで、ISOに反対する気持ちやISO導入のハードルが下がります。

ISO9001導入、目的と方法を間違えない

ISO9001に関しては、周囲の噂を聞いたり、これまでの顧客の厳しい要求に対応する中で、ISO取得の難易度をとても高くイメージしている人が多くいらっしゃいます。

ISO取得は特に難しいことではありません。

日頃から行っている業務を明確にして、それをルールと呼び、マニュアル化するだけです。

ただ、そのルールを現状以上に厳格化したり、大企業のルールを真似て「大変だ」と苦しんでいる企業が多い事も事実です。

ISOは厳格なルールを作ることが目的ではありません。

顧客満足を高めることや、仕事のやり方を継続的に改善する仕組みや考えを会社に導入して、会社や仕事がより良くなっていくこと、働きやすい会社にすることが本来の目的です。

名古屋・愛知県でのコンサルは続きます

名古屋の商社も、秋頃にはISO9001の認証取得ができそうです。

他にも愛知県内でISOコンサルティングを進行中の会社もあり、またまた別の愛知県内の会社から新しいご依頼も頂戴しており、秋からISO9001のコンサルティングを開始させてもらう予定です。

2022年以降も愛知県への訪問は続きそうです。 

名古屋、愛知県内でISO9001取得を検討されている企業様、商社に限らず、どんな業種にも対応しております。
お気軽にご依頼、お申込みください。お待ちしております。

なお、先着順に受付け、コンサルティングを開始しております。

お申込みいただくタイミングによっては、コンサル開始までお待ちいただく場合がございます。

ISO支援ネットのホームページに受付け状況をご案内しております。

[この記事を書いた人]
長谷川 順  ISOコンサルタント、株式会社ウイズダムマネジメント代表。
1975年 京都府生まれ。現在、東京と関西を拠点に全国コンサル訪問を展開中。26歳で現職の経営コンサルティング会社に転職し、2004年・29歳のときに「ISO支援ネット」事業を立ち上げ、自ら全国の企業に訪問しISOコンサルティングとISO研修を提供、継続中。わかりやすく実践的なISOを提唱。ISO9001及びISO14001審査員補(JRCA登録)。

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正しい理解をすれば、ISO9001の負担はありません。本来、ISO導入は会社にとって負担どころか、会社が良くなるプラスの効果が働くものです。決して間違った負担のあるISOにならないように。



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