ISO9001を自力で取得する方法【1】現役コンサルタントが解説

現役のISOコンサルタントがISO9001を自力で認証取得する方法をご案内します。

ISO9001の取得動向(2020年)

日本国内でISO9001を認証取得している企業・組織の件数は約5万件です。

既に取得するべき企業や組織は取得したとも言われていますが、日本国内には企業の数だけでも約300万社あります。

そう思うと、まだ5万件しか取得していない現状、取得率はまだまだ低いですね。

ここ数年、当社がISOコンサルティングをするお客様の企業も、従業員数が10名前後、5名前後という企業が増えています。

また、企業だけではなく、介護施設や社会福祉法人という企業以外のお客様も増えています。

そんな状況を考えると、これからISO9001の認証取得をしようと考えている企業・組織はまだまだ多くいらっしゃると思います。

ISO9001認証取得のハードル

「ISO9001を取得してほしい」と得意先からの要望もあって、認証取得の必要性を感じていても、なかなか一歩踏み出せず躊躇している、という企業の声をよくお聞きします。

ISO9001を取得したいけど、費用の負担、準備の負担、取得後の維持運用の負担など、それらのハードルがISO9001の敷居を高くしているのかと思います。

しかし、ここで、現役のISOコンサルタントとして、強くお伝えしたいです。

「ISO9001の認証取得はそれほど難しいものではありません」

2020年現在、ISO9001の認証取得をすること、認証を維持していくことは、多くの人が想像するほど、難しいものではなくなっています。

それでは、なぜ、すでに取得している企業の人が「大変だよ」とか「難しいよ」と言っているのか?

と思われる方もいるかもしれません。

その人たちが言っている「大変だ」というの話も事実かと思いますが、でも、それは古いISO9001の話です。古いISO9001とは、

古いISOと、新しいISOは、全然違います

ISO9001が大変だと言っている人は、10年前、20年前に取得した企業の人たちの話です。

大変だという話を聞いたときは、いつごろ取得された企業なのか、是非、お聞きすると良いと思います。

確かに、当社も10年以上前のコンサルティングでは、ISO9001を取得されようとする企業の皆様に、大変な思いをさせていた部分があったかと思います。

時代が変わって、2020年・最新のISOは昔と違います。

とてもシンプルに負担なく取得することができるようになっています。

 

このことについて、参考になる動画があるのでご紹介します。

この動画は当社の営業用のものですが、自力でISO9001を取得される企業の方にとっても一部参考になると思うのでご覧ください。

 

現役コンサルタントが紹介する「自力でISO9001を取得する方法」

上の動画をご覧いただければ、想像していたISOとは少し違うなと感じていただけたのではないでしょうか。

当社がコンサルティングをした企業のほとんどの方々から、「思っていたより簡単に取得できた」「こんなにスムーズに進むとは」という声を必ずいただきます。

(参考にご覧ください:当社のお客様の声

それでは、現役のISOコンサルタントが無理なく、負担なく、ISO9001を自力で取得する方法をご案内します。

(こちらも合わせてお読みください。ISO9001自力取得のメリットとデメリットを比較

特に、次のような企業・組織向けにわかりやすくご説明いたします。

[ISO9001を自力で認証取得しようとする、次のような企業・組織におすすめ]

  • ISO9001を理解している人がいない(いない方が良いです)
  • ISOの専任者をつくれない
  • 少人数の企業・組織だから心配
  • 何から始めれば良いのかわからない

[ISO9001を自力で取得しようとしている企業で、決して、やってはいけないこと]

自力で取得する企業で、よくありがちなことなのですが、次のようなことは絶対にやめてください。

ISO9001を自力で取得するために、
前職でISO9001に携わっていた人を担当者に任命する。
前職でISOに関係していた人を新たに採用して担当者にする。

このような方法でもISOは取得できると思います。実際に、このような担当者を設定したり採用して取得している企業例も多く見てきました。

なぜ、よろしくない事例かと言うと、
前職でISOの担当をしていた、前職で運用に携わっていたという人に、任せてしまうと、古い10年前、20年前のISOになる可能性が高いですし、その前職の方が勤めていた会社のISO活動をすることになるからです。

よくある事例として、大手の製造業でISOに携わっていた人に、自社のISO取得を任せるということがあります。

結果は先の話のとおり、
大企業のISO活動をすることとなり、取得するために大企業並みの大変な準備をして、取得した後の運用維持も負担がかかってしまいます。
こういったケースは本当に多くあります。

こういった大企業の真似だけではなく、他社のやり方を自社に当てはめるのは、良い結果になる可能性は低いので気をつけていただきたいです。

まず、ISO9001の担当者を決めましょう

上の例のように、ISOのことを知っている人に任せることのデメリットがあります。

担当される方はISO9001をこれから勉強するという人の方が良いかもしれません。

担当される方で一番重要なのは、ISOへの理解より、会社全体を動かすことができる人です。

会社の中で存在感があり、意見をしっかり言えたり、リーダーシップをとれる人であるのが好ましいでしょう。

大抵、そういう方は会社の中でも忙しい人なので、ISOのプロジェクトチームの中にそういう人に加わってもらいましょう。

次に、最終形から想像しましょう

何から始めるかを考えるにあたり、ISO9001取得の終点、最終形から想像しましょう。

ISO9001の認証をゴールとするならば、
最後の地点は、審査機関の審査を受けて、審査をパスするところが最後になります。

審査について

認証取得のための審査は、1次審査と2次審査が実施されます。

2次審査が本番の意味合いで、1次審査は下見のような役割です。

1次審査では、大まかな審査を行い、最終の2次審査を受けられる状態であるかを確認されます。

1次審査の段階で問題が見つかれば、審査員から宿題として指摘が出されます。

この指摘は2次審査までに対応すれば問題ありません。
1次審査での指摘は、2次審査が上手くいくために出るためのものです。2次審査で指摘を多くもらうより、1次審査でたくさん指摘をもらっていた方が安心です。

1次審査と2次審査の間隔は約1ヶ月です。

それぞれの審査日数は、企業規模(人数)によりますが、仮に20名前後の企業でしたら、1次審査は1日間、2次審査は2日間ぐらいのイメージです。

審査機関は日本に約50社ぐらいあります。取得する企業側が審査機関を選んで審査を依頼します。

審査を受ける半年前ぐらいには審査機関に申込みを済ませておくと良いでしょう。

審査機関の選び方については、ここでは省略します。

 

では、次に審査を受けるための話です。

ISO9001の運用実績を積む

ISO9001の審査を受けるには、ISOの要求事項を満たした活動実績が必要です。

これをISOでは運用実績と言ったりします。

運用実績は、
ISO9001規格の要求事項を満たした自社ルール「品質マニュアル」を策定し、

そのルールに従って活動し、ISO規格が要求する記録を残します。

運用実績としてどれくらいの期間が必要かというと、公式に決まっている期間はありませんが、最低3ヶ月ぐらいあれば審査を受けることができます。

その運用期間中に、ISO9001で要求されている事柄の実績を残す必要があります。

自力で認証される企業でしたら、5ヶ月ぐらいの運用実績、運用期間を持つぐらいのスケジュールで良いかと思います。

この5ヶ月間の運用期間ですが、完璧に運用ができている期間である必要はありません。ISOの品質マニュアルや自社ルールが決まってから、徐々に慣らしながら運用している期間を含めての5ヶ月です。

ISOを運用するために準備すること

運用するためには自社ルールを策定します。

自社のルールブックを作成し、これを一般に「品質マニュアル」と名付けています。

品質マニュアルの作り方は、特に決まりはありません。自由です。

何を書くかと言うと、

ISO9001規格の要求事項に書いてある、
「あれしろ」「これしろ」と規格が要求していることに対して、自社では「こんな風にしますよ」とルールを書くのが品質マニュアルです。

規格の要求事項には「〇〇しなければならない」という表現で書かれています。

その要求に対して、
品質マニュアルには「〇〇します」とか「こんな風に〇〇します」と言った書き方をします。

書き方の程度や表現方法をどんな風にすれば良いか、分からなかったり、迷ったりするかと思いますが、本当に自由です。
規格の要求をこういう風に満たしますよ。という自社ルールを書けばOKです。

図表を入れたり、写真を入れて書いても良いですし、また、入れなくても良いです。またまた、このルールは、別紙のどこどこに書いているなど、ルールを直接書かなくても、ルールが「存在」していることが分かればOKです。

ルールを作ること、システム構築

ISO9001の規格名称は「品質マネジメントシステム」と言います。

ISO9001の規格要求の本のタイトルは「 品質マネジメントシステム 要求事項」です。

要求事項に従った自社ルールを策定することを「システム構築」と言い、
ルールを作成し、ルール通りに活動することを「システム運用」と言います。

 

ルール作りは面倒だと思うかもしれません。

しかし、難しく考える必要はありません。難しく考えない方が良いでしょう。

ただし、品質マニュアルの作成はとても重要です。

ルールが作成されると、そのルールは「絶対」となり、必ず実施したり、従わなければならないからです。

先に紹介した動画でも話していますが、
「ISOが大変だ」という企業は、身の丈にそぐわない大変なルール作りをしているからです。

例えば、
ISOを取得するからということで、大企業でやっているようなルールをそのまま自社のルールに導入するということがよくあります。

そうしてしまうと、大変になるに決まっています。

品質マニュアル作成の姿勢

ISO9001規格で「〇〇しなければならない」と書かれていることは、

それはすでに自社でやっている、すでに出来ている

こういう考えで品質マニュアルを作成してください。

規格の「〇〇しなければならない」に対して、
「いま自社でやっている何が当てはまるかな」
という方法でルールをつくり、品質マニュアルにそのことを書いてください。

基本的に、今やっている、やり方、活動をそのまま品質マニュアルに書くようにすると良いでしょう。

そして、書くルールの程度、詳細さは自由です。

ルールをどれだけ細かく文書化するかも自由です。

これまでの会社の活動実績として以前から細かく決まっていて、会社で実施出来ていることは、細かく詳細にルール化して良いですが、

柔軟性をもたせたい場合は、ルールも柔軟に、良い意味で大ざっぱに書く方が良いかもしれません。

ルールの作成方法として、理想な書き方は、5W1Hで書かれているのがベストです。あくまでベストです。

5W1Hで書くと、ルールを従う人にとって迷いが出ません。

いつ、誰が、なにを、どこで、どのように、どれくらい、と書けるのが一番良いですが、ルールで自分たちの活動を雁字搦め(がんじがらめ)にしてしまうと、後の運用が大変ということもあります。

品質マニュアルのルールは、5W1Hが必ず揃っている必要はありませんし、書いたとしても中身詳細さは自由です。

品質マニュアル作成のポイント、システム構築期間

当社がコンサルティングをする場合は、この品質マニュアルを代理作成します。

お客様である企業の仕事の方法や現状をヒアリングし、その現状のやり方をルールとして品質マニュアルを作成します。

その代理作成での品質マニュアルの作り方、ポイントは、大きく2つで、

1つは、企業組織とその企業活動の全体像として、概要や流れ、輪郭がわかるように書くこと

もう1つは、ISO9001規格が要求している事項を「その企業では、どのように満たしているか」を書くこと

以上の2つです。

少し言い方を変えると、

1つ目は、外側から見渡すような視点で、ある程度おおまかに書く

2つ目は、要求事項を満たしている部分に焦点をあてて書く

このようになります。

自分で自力で取得する会社でも、上の2点を抑えて、あまり囚われず自由に書くことをお奨めします。

 

当社がコンサルティングをする場合は、
ヒアリングをするところから、原案作成・提出、見直し・修正と、出来上がるまで、2~3ヶ月あれば充分です。

自社で自力で取得する企業では、一から作成するとすると4~5ヶ月ぐらいは作成期間として余裕を見ていた方が良いかもしれません。普段の仕事をしながら作成されることを想定しての期間です。

品質マニュアルの仕上りについて

自社で作成した品質マニュアルについては、つてがあるのであれば、コンサルタントなどのプロに目を通してもらう方が良いでしょう。

品質マニュアルは自社ルールとして運用していかなければならないので、

品質マニュアルに不足があるという心配よりも、

過剰なルールになっていないか、ということを気にしてください。

「ISOは大変だ」と言っている企業では、
「ISOの要求にあるから(仕方なく)ルールをつくり活動している」という事柄が多くあります。

しかし、そんなことをISOは要求していない、もしくは、そこまですることを要求していない、ということが本当に多くあります。

ISOが要求していないのに、過剰なルールや過剰な文書、記録を作り、負担となっているケースがよくあります。大変になってしまう原因です。

ISOを自力で取得する注意点

ISO9001の認証を取得するには審査にパスしなければならないので、どうしても審査への不安が生じで「これで足りるかな」という気持ちになりがちです。

自社としては必要としていないのに、ISOの審査をパスするために、ISO用の活動を加えて負担を大きくすることは、よくあることです。

これは、全くもって良いことではありません。

ISOを自社で自力取得される場合は、過剰なルールにならないように注意してください。

足りないぐらいで審査を受けて良いのです。

審査で指摘を受けてから、加えるぐらいの気持ちでも良いでしょう。

審査では、「不十分」という指摘はいくらもらっても大丈夫です。認証を取得できます。

もらってはいけない指摘は、規格の要求事項に対して「全くやった形跡がない」という指摘だけです。

なので、やるべきことを全くやっていないのはダメですが、「やっているけど、この程度で大丈夫かな」ということに対しては、「指摘をもらえば改善しようかな」ぐらいの気もちで充分です。


ここからは、当社の営業的な話になりますが、
(不要な方はスルーしてください)
ISO9001をこれから取得される企業で、当社でISOの内部監査員研修を受けられる企業様には無料で「品質マニュアル」の雛形を差し上げています。

オフィスソフトのワード版でご提供するので、これをベースに編集していただくことで「品質マニュアル」を自力で作成いただけます。

研修の特典として、ミニコンサルティングもご提供しています。

詳しくは案内をご覧ください。

研修の特典(品質マニュアルの雛形)

ISO支援ネットの内部監査員研修

 

以上、ISO9001を自力で取得する方法【1】でした。

今後、部分的な説明や審査機関の選定方法などを解説していきます。

ISO支援ネット

[この記事を書いた人]
長谷川 順  ISOコンサルタント、株式会社ウイズダムマネジメント代表。
1975年 京都府生まれ12歳から東京に移り住み、26歳で経営コンサルティング会社に転職、現職。2004年・29歳のときに「ISO支援ネット」事業を立ち上げ、自ら全国の企業に訪問しISOコンサルティング、ISO研修を継続中。わかりやすく実践的なISOを提唱。ISO9001及びISO14001審査員補(JRCA登録)。