2023年5月23日更新
最近のISO9001は、10年前と違います
これからISO9001の認証取得しようと考える企業にとって、最初に考えることは、大きく次の2つではないでしょうか。
どれくらいの費用がかかるか
どれくらい大変なのか
初めてのことは何でも不安になりますね。
しかも、ISO9001の取得となると、周囲の噂、特に取得している企業の人達の話を聞くと、とてもとても大変で、そんな話を聞いてしまうと、想像だけでも相当の難易度を上げていらっしゃるのではないでしょうか。
不安になるのも当然のことと思いますし、しかし、不安になるのはやめましょう。この記事を読んでいただいて。
2023年、最新の情報をお届けします
ISO取得を検討されている企業の方々においては、自社のビジネスを考えると、できればISO9001の認証取得をしたいとお考えかと思います。
ISO9001の取得の難易度は 10年前と今では異なります。
例えば、古い機械は、メンテナンスが大変で手間がかかったりしますが、最新の機械はメンテナンスフリーで管理が簡単ということがあります。
10年以上前に取得した企業の苦労話で不安になるより、最新の事実を知って取得をされるかどうか考えていただければと思います。
古い情報を信じて、ISO9001を誤解をされている方がとても多くいらっしゃいます。
そこで、2023年現在のISO9001の認証取得について、費用や難易度を説明いたします。
説明するのは、20代からISOコンサルティングを始めて実績20年、現役コンサルタントが生の情報を基にお伝えします。(コンサルタントのプロフィールを最後にご紹介しています)
まず、費用について
ISO9001の認証取得にかかる費用内訳は、次の3つの項目を考えていただくと良いと思います。
(1)取得前の準備にかかる費用(コンサルタント費用)
(2)審査を受ける費用(審査費用)
(3)認証後の維持費用(審査費用+コンサルタント費用)
これら3つの費用が全てかかる訳ではありません。
絶対に必須なのは審査費用だけです。
コンサルタント費用で重要ことは、
コンサルタントの支援を取得までにするか、取得後も支援をしてもらって月々数万円を永遠に支払うかによって大きくコストが変わります。
その他、依頼するコンサルティング会社や審査機関をどこにするか、選び方によっても料金が大幅に違います。
それでは、費用について、1項目ずつ解説します。
(1)取得前の準備にかかる費用(コンサルタント費用)
コンサルタント費用は、自分たちで自力で取得すればコストは「ほぼゼロ」です。
自力で取得するにしても、研修を受講して勉強するということがあるかもしれないので、多少の費用はかかるかもしれません。
やる気のある会社は、自社で取得をされるのも良いでしょう。自力取得もメリットとデメリットがありますが、最大のメリットはコンサルタント費用がかからないということでしょう。
(自力取得のメリット・デメリットの比較)
コンサルタント費用、コンサル会社による違い
コンサルタントに依頼する場合、当然、費用がかかります。
費用がいくらか?は、依頼するコンサルティング会社、自社の企業規模などによって決まります。
どこのコンサルティング会社に依頼してもISO9001の認証は間違いなく取得できると思います。ただし、コンサルタント会社によって、次のことが変わります。
【例1】取得するのも運用も大変、コンサル費用も高い
よく大変だと聞く、大企業並みのルールを導入させられ、膨大な文書を作らされる。取得するのも、取得後も大変だし、コンサルタント費用も高い。
【例2】コンサルに任せて楽、月々のコンサル費用は永遠にかかる
何でもコンサルタントがやってくれるので楽。コンサルに任せっきりでISOの中身がイマイチわからないので、永遠にコンサルタント頼り。月々のコンサルタント費用は安いと思ったけど、長期的には500万、1000万・・・と増えていく。
【例3】負担もなく自社で運用できて、コンサル費用は最初だけ
取得後を見据えて自社で運用しやすいルールや文書を作ってくれる。取得も取得後も負担が少ない。自社だけで運用することを前提に説明があるので、ISOの意味も理解できてムダな活動にならない。何より取得後のコンサル費用がないのでコスパ良し。
当然、おすすめなのは【例3】のコンサルティング会社です。
このブログを発信する当社は[例3]のコンサルティング方針で支援しています。
いずれのコンサル例も全てが悪いわけではないので、自社に合うコンサルティング会社を選定いただければと思います。
ただ、ご注意いただきたいのは、コンサルを選定する際、過去のご経験でISO知識を持っている方や、ISO運用に触れたことがある方は、過去に取得した大変なISO事情を基に、「ISOが負担なく取得できる訳がない」「取得後、自社だけで運用するのは無理」と考えて、取得後もコンサルタントが必要と考える傾向があるようです。古くから取得して今でも苦労している会社の情報を基に検討するのはやめましょう。
[補足]取得企業のISO担当者は今現在も負担を感じて苦労している人が多いと思います。それは取得段階で自社に合わないISOルールにしているからです。当社が取得支援した従業員が5人以下、10人以下の企業でも、無理なくコンサルタント無しで運用しています。無理なルールを作らなければ審査準備なども不要です。
【例3】のコンサルタント費用の具体的な例を紹介すると、
仮に従業員10人ほどの企業であれば、コンサルタント費用は60万円前後です。
(2023年5月時点)
具体的な料金は当社HPで公開しているので、料金表を見てください。
人数別コンサルティング料金表
紹介したコンサルタント料金は、ISOコンサル業界では安い方だと思います。
もしかすると、探せばさらに安いコンサルティング会社もあるかもしれませんが、100万円、200万円以上の高いコンサルティング会社も沢山あります。
コンサルティング会社によっては、先ほど紹介した【例2】のように、最初の取得までのコンサル費用は低価格で請負い、取得後の維持コンサルティングで費用を永久的に請求する方式のコンサル会社もあります。
このコンサル方式が決して悪い訳ではないのですが、ご理解してから依頼されると良いと思います。
また、コンサルティング会社のコンサル内容ですが、これもコンサル会社によって異なります。
コンサル会社の違い(1)
アドバイスを中心としたコンサル会社もあれば、文書の代理作成や研修などもサポートしてくれるコンサル会社もあります。
例えば、ISOを取得・維持するために「内部監査」という自社内でのチェック行為を、従業員の中から内部監査員を養成して実施しなければなりません。
この内部監査については「セミナー機関で何人か研修を受講してきてください」というコンサル会社もあれば、コンサル会社が費用内で研修を実施してくれる会社もあります。
コンサル会社の違い(2)
選んだコンサルティング会社の考え方によって、準備にかかる負担はもちろん、取得後の運用面での負担が異なります。
同じISO9001を取得するのに、なぜ負担が変わるのか、少しISO9001の過去に触れます。
10年以上前、ISO9001を取得するためには、どこの企業も大企業の品質管理のやり方を真似するということをしていました。人手やお金のある大企業がやっている事を真似することはとても負担でした。
時が流れISO規格や解釈の仕方も変化し、現在は過去のような他社の真似をする必要は全く無くなりました。各企業のありのままでも取得できる自由度が増した規格に変化しています。
自由度があるということは、他社の真似をしても良いし、自社のオリジナルのやり方をしても良いと言うことです。
コンサルタントの違い(2)の話に戻ります。
昔のような大企業並みのやり方を指導するコンサルタントもいれば、企業の考えや現状に合わせて柔軟に指導するコンサルタントもいます。
どちらが良いかは、これも考え方によりますが、やる気のある企業であれば他社の真似をしたり、高いレベルを目指すのはとても良いことです。
しかし、望んでいないのにコンサルタントの言いなりで、望んでいない活動や文書を用意させられてしまうと、それが負担となり、噂に聞く大変な面倒なISOになので要注意です。
ISO9001の活動は、改善を続けていく活動ですので、いきなりレベルの高いことをするより、最初は現状に見合ったルールで進めて、運用しながら徐々に改善して高いレベルとなっていくのが理想です。
(2)審査を受ける費用(審査料金)
次に、ISO9001を取得するためにかかる審査費用ですが、これは必須の料金です。
依頼する審査機関と自社の従業員人数によって料金が異なります。
ISO9001の審査を実施してくれる審査会社(=審査機関)は日本国内に約50社あります。
この中から自社で審査機関を選び、自社で依頼して審査を受けます。
いずれも国際認証の審査をする会社なので、国際ルールに従って、同じ基準で同じ審査が実施されることになっています。
とは言っても、それぞれ審査機関によって個性や特徴があります。自動車免許の教習所のような感じです。
審査料金について、一例をあげると、
仮に従業員10~20人の企業で、ある審査機関の認証登録(初回)の審査料は約35万円です。諸事情により価格増減があるので目安として参考にしてください。
この料金はあくまで参考ですが、比較的、低価格な場合の審査料金です。
審査料金は、企業の規模・業態によって、審査日数が変動するので、同じ審査会社でも会社が変われば金額が変わるということがあり得ます。
審査機関を選ぶのに、どんな視点で考えるかと言うと、次のようなことがあります。
・審査料金
・審査の技量・方針(レベル、細かさ、柔軟性)
・ブランド(信用、知名度)
この3つのことは重要なので、審査機関を選ぶ際は、自社の要望をコンサルタントに伝え、コンサルタントに選定してもらうと良いでしょう。
(3)認証後の維持費用(審査費用+コンサルタント費用)
取得後の審査料金
ISO9001の認証取得をすると認証マークが与えられ、その認証を維持しなければなりません。
認証(書)の有効期限が3年なので、取得してから3年目(3年毎)に更新審査があります。
また、審査は3年に1回だけではなく、3年目を迎える中2年間(1年目、2年目)も、毎年、運用確認の維持審査があります。
結局、毎年1回の審査があります。なので、認証を取得すると、毎年、審査費用が発生します。
認証取得後の審査料金は、初回の認証登録のときの審査料ほどは高くなりません。
審査料金について、一例をあげると、
仮に従業員10~20人の企業であれば、毎年の維持審査料金が12~16万円前後、3年目の更新審査料金が20~25万円です。
この例にあげた審査料金はやや安い方かと思います。審査機関によってはこれ以上高額な料金になる場合もあります。
ISO取得にコンサルタントを依頼するのであれば、どの審査機関が良いかコンサルタントと相談して決めるのが良いでしょう。
取得後のコンサルティングの必要性
認証取得後のコンサルタント費用については、これは必須ではありません。
取得後もコンサルタントのサポートを希望するなら、料金が発生しますし、サポートを受けなければ、費用は発生しません。
注意していただきたいのは、
取得後もコンサルタントのサポートを受けると料金が発生するが、「その分、負担が軽くなる」というのは間違いです。間違いというか、それは10年前以前に取得した企業のやや古いISOです。
2023年現在、ISO9001は負担なく運用できる規格に変わっています。
何が変わったかというと、規格の内容も変化していますし、それに応じてISOの審査機関、コンサルタント、それぞれも昔と比べ考え方が大きく変化しています。
10年前、20年前のISO9001は、確かに、負担のかかる規格で認証取得後もコンサルタントの支援が必要だったかもしれません。
2023年の現在は、「負担のかからないように取得ができる」規格になっています。
もし、取得後のコンサルタント費用をかからないようにしたい場合は、
取得前の準備する段階から、取得後の運用を見据えて、負担のかからないように取得することが必要です。
コンサルタントから「これをする必要がある」「この文書がいる」といって言いなりで取得すると負担のかかるISOになってしまう可能性が大きいです。
負担のかからないISOにするには、自社の要望や現状を柔軟に理解してくれるコンサルタントに依頼するのが望ましいです。
負担のかかるISOとは、
例えば、小規模企業が大企業並みの重厚なISOルールや管理文書を作るということです。重厚なISOが決して悪い訳ではありませんが、身の丈にあったルールや文書にしないと、取得前に聞いていた噂どおりの大変なISOになってしまいます。
コンサルティング会社の戦略として
私たちコンサルティング会社にとって「取得後のサポート料金」という名目で半永久的に企業からコンサル料金を請求できることは有難い仕組みです。
なので、コンサルティング会社の中には、取得後も永続的にコンサルティング料金を徴収する事を前提に、初期のISO取得のコンサルティング費用を安くして、お客様を獲得しているコンサルティング会社もあります。
「毎月○万円で取得も維持もできます」と謳っているコンサルティング会社などがそうです。
10年前、20年前の負担のかかるISOを維持している企業にとっては、「コンサルサポートのお陰でISO維持が楽になった」ということはあるでしょうから、ずいぶん前に取得した企業側にとっては有難いサービスかと思います。
これから取得する企業は、最初の取得前の段階から負担のかからないISOにしておけば、取得後も自社で充分にISOを維持でき、取得後のコンサルティング費用をかからないように出来ます。
取得後のコンサルティング料金(0円~10万円)
(取得前のコンサル料金はこちら社員2名からのコンサル料金表)
取得後も負担がかからずコンサルタントの外部サポートを受けないように取得すれば、費用は0円です。
取得後もコンサルティングを依頼する場合、費用は、選択するコンサルティング会社と、自社の規模、ISO規格の数によって異なります。
ISO規格の数というのは、ISO9001以外に14001や27001といった複数のISO規格のサポートを同時に受ける場合です。ここでは、ISO9001の一規格に絞って説明します。
取得後のコンサルティングを依頼した場合、一つの規格で、月額3万~6万円、10万円以上する場合もあるでしょう。
金額の違いはコンサルティングの内容によっても異なります。
単純にISOの認証マークを維持するためのサポートもあるでしょうし、ISOの効果を出すために様々な提案や、内部監査やマネジメントレビューに関与するコンサルタント会社もあれば、社員向けの研修やISO以外のサポートをしてくれる会社もあります。
認証取得後のコンサルティングによって、様々なメリットがあり得ます。
営業や利益が向上する、品質が向上する(不良が削減する)、生産性が向上するなどなど、コンサルタントに依頼することは決して悪いことではありません。
ただ、そういったコンサルティングのメリットを望まないのであれば、取得後の費用は0円になるよう自社で自力で運用することをお奨めします。
こちらをご参考にしてください。
運用のための継続コンサルティングは必要ありません
ISO9001の難易度について
ISOが難しい、負担がかかるというのは、ずいぶん昔の話です。昔と言っても10年前、20年前です。
しかし、その10年から20年前の大変なISO時代に取得した企業が一番多く、
「ISO9001=負担がかかる」という話が溢れています。
そのような企業の方々は、確かに大変なご苦労をされて取得したので、「大変だ」と言いたくなるお気持ちも良くわかります。
でもその話を真に受けないでください。いまのISOと10年前以前のISOは負担が違います。違うようにできます。
ISOの難易度、負担については、当社のホームページになりますが、参考になるページがあるのでご覧ください。
ISO支援ネットのコンサルティング
[この記事を書いた人]
長谷川 順 ISOコンサルタント、株式会社ウイズダムマネジメント代表。
1975年 京都府生まれ。現在、東京と関西を拠点に全国コンサル訪問を展開中。26歳で現職の経営コンサルティング会社に転職し、2004年・29歳のときに「ISO支援ネット」事業を立ち上げ、自ら全国の企業に訪問しISOコンサルティングとISO研修を提供、継続中。わかりやすく実践的なISOを提唱。ISO9001及びISO14001審査員補(JRCA登録)。
記事を書いた人の動画を見る
[動画]ISO9001取得「活動・費用の負担は?」
ISOは大変、それは古い時期に取得した企業の話。古いやり方で取得した会社は今も負担と苦労が続いています。しかし、最新のISO9001は負担なく取得できます。その最新情報を説明します。
[動画]「ISO審査の話」これで審査準備はもう不要
ISOの審査が大変で「やめたい」という企業もでるくらい審査は恐ろしい?(ブログ:やめた企業)。しかし、審査の意味がわかれば、審査準備も不要で、審査の目的を理解したら全く恐くありません。
[動画]ISO9001取得の意味、目的、効果
正しい理解をすれば、ISO9001の負担はありません。本来、ISO導入は会社にとって負担どころか、会社が良くなるプラスの効果が働くものです。決して間違った負担のあるISOにならないように。
ISO支援ネットのコンサルティング
ISO9001コンサルティング料金(人数別の料金表、社員2人~80人)
内部監査員研修